原著論文・学術大会

第74回 全日本鍼灸学会 学術大会PDF

第74回(公社)全日本鍼灸学会 学術大会 名古屋大会
女性のみかたⅡ
-フェムテックによる女性のWell-beingに貢献する鍼灸-
期間 2025(令和7)年5月30日(金)~6月1日(日)
会場 WINC AICHI(ウインクあいち愛知県産業労働センター)

030 健康 sat-P2-11:48 pp.110
体重の周期的変化に対する鍼灸治療効果
1) 蛍東洋医学研究所
2) 大塚鍼灸院
3) 明治東洋医学院専門学校
大塚 信之1, 2)、瀨尾 寿々3)、半田 由美子3)


【目的】 情報通信技術ICTの進展により、大容量の生体情報の連続取得が可能となった。生体情報の中でも生活習慣病予防の重要な要素となる体重を、日々計測して時系列に分析することで、体重減少時だけでなく増加時も含めた鍼灸治療効果を検証する。
【方法】 37歳の女性に、鍼灸治療と毎日の起床時体重の測定を基本として5年間実施した。体重減少を目的とした治療は、中脘、気海、大巨への透熱灸、耳の神門点、胃点(憂鬱点)、飢点(バリウム類似物点)、内分泌点(TSH点)への置鍼と何れか一点への円皮鍼貼付とし、愁訴に対する治療に組み込んだ。当初2年間は食餌制限と運動療法も実施した。治療は248回、体重測定は1772回実施し、月経開始日も記録した。治療日に対する体重変化を平均値で示す。有意水準を5%としてt検定を実施した。
【結果】 体重は99kgから66kgに減少(減少期)後、増加(増加期)して、82±3kgの定常状態(定常期)となった。体重変化は治療翌日に向けて低下した後に上昇する周期性を示した。治療翌日は、減少期-0.23kg、増加期-0.01kg、定常期-0.15kgとなった。治療前日に対する治療翌日の体重変化は、減少期と定常期で有意に低下した(p<0.01)。
【考察】 減少期と定常期に治療翌日の体重変化が有意に低下し、周期的な体重減少に及ぼす鍼灸治療効果が示唆された。生体情報等の時系列分析はデータ数が多く、p値が小さくなり有意性を判別し易いため、エビデンスとしての活用が期待される。
減少期と定常期は、治療翌日の体重減少日数が増加日数の2倍以上となり、体重減少を高頻度で認識できる。治療翌日に向けた体重変化の低下は、鍼灸治療に対する条件反応が示唆される。その結果、月経周期による体重変化を考慮する事で、鍼灸治療は体重減少や維持に向けた意欲の増進に繋がると考えられる。
【結語】 体重の時系列分析により、定常期においても治療翌日の体重減少に及ぼす鍼灸治療効果が示唆された。

キーワード 体重減少、時系列分析、鍼灸治療効果、条件反応、月経周期


住所
1, 2) 〒560-0033 大阪府豊中市螢池中町3丁目8-14
  E-mail: hari@otsuka.holding.jp

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