蛍東洋医学論文誌 JHTOM

Vol. 9, No. 1, 2022PDF  0.6M
不眠症への鍼灸の適用
Acupuncture and Moxibustion Therapy for Insomnia

大塚 信之 所属住所
Nobuyuki Otsuka AffiliationAddress

あらまし

不眠症は、一般成人の21%が罹患しており、60歳以上の高齢者では30%以上となると報告されている. 睡眠不足は内科疾患を助長したり、注意力の低下による事故を誘発するため、睡眠状態の改善が重要となっている. 不眠症に対する鍼灸治療は、コクランレビューでは効果は不明となっているが、個別の検討では入眠までの時間や夜間覚醒の改善による睡眠の質の向上が報告されており、 効果を長続きさせるには鍼灸治療と台座灸などのセルフケアの組み合わせが重要となる. 筋肉の緊張を抑制することで不眠症が改善されるため、鍼灸治療でストレスによる筋肉の緊張を低減すれば、鍼灸による不眠治療が可能となる. 例えば、肩こりや背中の張りなどの筋緊張を緩和すると不眠も抑制できる. 鍼灸治療による筋弛緩を治療後数日間維持して睡眠状態を改善するために、緊張した筋肉に対して筋緊張を緩和するセルフケアの導入により自宅で睡眠状態の改善が可能となる. 不眠に対しても就寝前の一般鍼灸院での鍼灸治療の効果があることを一般の方に浸透することも重要となる. 睡眠障害以外の主訴を訴えた高齢者の比率は80%と非常に高いことから、高齢者への不眠治療は必須と思われる. 高齢患者には、治療時に睡眠衛生指導を徹底するとともに、鍼灸治療の効果が高い場合に睡眠状態も改善したことから、鍼灸治療による徹底した主訴の改善が望まれる.

キーワード 不眠症, 睡眠薬, 睡眠衛生, 高齢者, 筋緊張, 台座灸, 耳鍼, 東洋医学, 鍼灸治療

1.はじめに

不眠は、健全な睡眠が障害された状態をいう[1].睡眠時間は、成人で平均7~8時間であるが、個人差があり、何時間以下が不眠というようには規定できない.症状は、寝つきが悪かったり、途中で目覚めてしまい、健全な睡眠ができないなどがあり、早朝覚醒、入眠障害、熟眠障害、途中覚醒に分類される.不眠には、実際に覚醒していて眠れない場合の真の不眠と、実際には睡眠をとっていながら不眠を訴える偽の不眠がある.
偽の不眠は、自己の睡眠を異常に過小評価しているもので、神経症性不眠に多い.不眠は、環境の変化、騒音、寒さ、熱さなどによる精神的緊張や、コーヒーやお茶の飲みすぎでも起きる.病的な不眠は、器質的な脳疾患や精神疾患でも起きるため、鑑別するには、不眠の原因を確認し、必要に応じて精神科医に相談する.
一般的な治療は、規則正しい生活を心がけ、就寝前には精神的緊張を和らげ、眠くなってからはじめて床につかせるといった睡眠衛生指導を行う.睡眠衛生指導により不眠の多くは改善されるが、不眠が解消されない場合には睡眠改善薬が使用され、うつ病の場合には抗うつ薬が使用される.
財団法人健康体力づくり事業団による1997年の報告では、一般成人の21%に不眠症があり、60歳以上の高齢者層では30%と報告されている.入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒いずれにおいても高齢者の割合が高く、中途覚醒と早朝覚醒は20~30代の2倍以上となっている[2].
睡眠と健康の関係では、睡眠不足による内科疾患の助長がある.メタボを助長するだけでなく、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満、心疾患、免疫機能の低下が起こる.不眠症の患者では、各種身体疾患の有病率が健常人に比べて2倍以上高いという報告もある[3].
睡眠と作業効率の関係では、睡眠不足での作業能率や注意力の低下がある.例えば、自動車事故では、運転中に一瞬意識がなくなる瞬間睡眠(Microsleep)が起こる[4].眠気が起こって意識がなくなるのではなく、眠気がなくても瞬間的に意識がなくなる.
睡眠と寿命の関係では、男性も女性も7時間が最も死亡率が低いというアメリカでの調査結果がある.日本の調査でも男性も女性も7時間が最低となっている[5].死亡率が最低となる睡眠時間は、昼は含まないで夜間のみとなる.昼間に寝てしまうと夜寝れないというように、合計時間という観点からは、昼間に寝てしまうと、その分は夜の時間は短くて良いことになる.一方で、健常者の場合、短眠型と長眠型のどちらも、深い睡眠(徐波睡眠)の累積時間はほぼ同様となっている.従って、最適睡眠時間などはなく、必要となる睡眠時間は人それぞれであるとも言われている.
睡眠と食事の関係では、健全な睡眠には規則正しい食事が必要と言われている.食事が寝る直前になると、深部体温などに影響し、体温が上昇したりするので、睡眠不足になるといわれている.食後に消化する時間が必要なので、就寝の3時間前までに食事を終わり、コーヒーは4時間前までには飲んではいけない.
睡眠と年齢の関係では、年齢によって大きく異なる.1歳児未満では、夜中に何回も覚醒するが、1歳児以上では夜間に固まって睡眠し、昼間に2回ほど睡眠するようになる.大人は、夜間1回となる.一方で、老人は、子供と同じような睡眠状態となり、夜間の睡眠時間が短くなり、昼間も2回ほど眠るようになる.一晩あたりの睡眠の深さの変化は、睡眠ポリグラフによると、成人では夜間の睡眠時間が7時間のうちに4回程度レム睡眠となり、レム睡眠の時に夜中に起きる可能性がある.老人は、夜間何回も睡眠が浅くなり、起きる頻度が著しく増大する.このような、加齢に伴う睡眠の生理的変化は、生体リズム機構の加齢に伴う機能低下がある.睡眠に影響を与える因子は、光線、社会的因子、食事、身体運動、環境等がある.機能低下の結果、睡眠覚醒リズム、自律神経リズム、内分泌リズム、免疫退社リズムが変化する.特に重要となるのは、体内時計のリセットで、部位としては視交叉上核で実施されている.加齢に伴い、視交叉上核に障害が起こると上記の各種リズム障害が起こるといわれている.

2.睡眠について

睡眠には、3つの重要な法則がある.
第1は、概日周期(Circadian Rhythm)で、24時間の周期で変動する.周期を24時間にするには、睡眠開始のタイミングを調整する必要があり、調整には朝日を浴びることが重要となる.朝日を浴びることで、夜にメラトニンをより多く出すことができる.朝日を浴びて14~5時間後に、メラトニンが出て眠くなる.不眠症の人は、朝日に気を向けることなく、入眠時のみ努力するため、よけい眠れなくなる.朝日を浴びることが重要となる.概日リズムの他の特徴は、体温は昼高くなるとか、夜間に成長ホルモンのピークができるなどがある.
第2は、縮日周期(Ultradian Rhythm)で、24時間以内の変動で、90分周期のものを指すことが多い[6].例えば、レム(REM: Rapid Eye Movement)睡眠の周期などがある.昼間でも、単調な環境で作業を行うと90分のタイミングで、眠気を感じるということも知られている.集中していると90分毎に眠くならないで済むが、車の運転のように単調作業の場合は、90分毎に眠くなる.
第3は、恒常性維持機構(Homeostasis)で、無理して起きていると眠くなる事を指す.恒常性維持機構は、睡眠の長さや質を調整し、レム睡眠やノンレム睡眠にも関連する.長く起きているとより激しく眠くなる傾向を睡眠圧と呼ぶ.日中起きていればいるほど、眠気は大きくなるので、睡眠負債(Sleep Debt)という.睡眠圧の変化は、プロセスS(Sleep Homeostasis)と呼ばれており、覚醒時間に比例して睡眠圧が増加し、睡眠時間に比例して睡眠圧が減少する[7].また、睡眠をしない日があると、翌日に眠気が強くなるという、断眠効果が知られている.
睡眠のメカニズムは、オレキシン作動性となる.オレキシンが少なくなると、居眠り病(Narcolepsy)の原因となるため、オレキシンを制御する薬が販売されている.
睡眠改善薬は、ペントバルビタール(ラボナ)などのバルビツール系薬、トリアゾラム(ハルシオン)やプロチゾラム(レンドルミン)といったベンゾジアゼピン製剤を経て、現在はゾルピデム(マイスリー)、エスゾピクロン(ルネスタ)、ゾピクロン(アモバン)といった非ベンゾジアゼピン製剤とその他の薬剤となっている.国際連合はベンゾジアゼピン製剤を麻薬などと類似した有害性や依存性をもつ薬剤とみなし、日本は世界でも類を見ないベンゾジアゼピン製剤乱用国と報告した[8].睡眠改善薬の処方頻度が高まる中で、一部の患者で長期服用時の依存から、耐性、離脱障害、高用量、多剤併用が生じると共に、過量服用などの乱用が生じていることが社会問題となっている.こうした背景から、ベンゾジアゼピン受容体に作用しない新しい作用機序を有するメラトニン受容体作動薬のラメルテオン(ロゼレム)や、オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサント(ベルソムラ)などの処方頻度も年々増加している.いままで使用されてきたベンゾジアゼピン製剤は、筋弛緩性により、眠くなってくるという感覚と同一の感覚を感じる.そこで、服用すると、筋弛緩作用が働いて、眠くなると感じる.一方で、メラトニン系やオレキシン系の睡眠改善薬には筋弛緩性はなく、ベンゾジアゼピン製剤に比べて、眠くなるという意識はない.

3. 不眠症

3.1 睡眠障害診断分類
不眠症は、慢性不眠障害のみではなく、短期不眠障害と、その他の不眠障害がある.不眠症から不眠障害と呼ぶようになったのは、不眠は慢性化しやすく、安易に治療すると遷延化しやすい可能性があることを啓発するためである[8].
睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3: International Classification of Sleep Disorders)の睡眠障害診断分類は、以下の6つに分かれる.
1. 睡眠障害(Insomnia Disorder)は、慢性不眠障害、短期不眠障害、その他の不眠障害となる.孤立性の症状と正常範囲の変異よりなる.精神生理性不眠症、精神疾患や身体疾患による不眠、薬剤もしくは物質による不眠が含まれる.
2. 睡眠関連呼吸障害(Sleep Related Breathing Disorders)は、睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)など.
3. 過剰な眠気を来す中枢性症候群(Central Disorders of Hypersomnolence)は、居眠り病など.
4. 概日リズム睡眠-覚醒障害(Circadian Rhythm Sleep-wake Disorders)は、睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、時差障害など.
5. 睡眠時随伴症候群(Parasomnias)は、レム睡眠行動障害(RBD: Rem sleep Behavior Disorder)、睡眠時遊行症など.
6. 睡眠関連運動障害(Sleep Related Movement Disorders)は、むずむず脚症候群(下肢静止不能症候群、RLS: Restless Legs Syndrome)、周期性四肢運動障害など.
7. その他の睡眠障害(Other Sleep Disorders)
ICSD-3は、作成されてから後、改訂されていない.ICSDの歴史を知らないでICSD-3を見ていると、睡眠障害の患者を診るにあたって問題が起こるため、ICSD-3を活用する上で注意が必要となる.一つ前のICSD-2では、Table 1の分類と不眠となる原因の分類があったが、ICSD-3では原因の分類はなく不眠の判定がTable 1と2になった.これは、DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の診断に倣ってICSD-3ができたためである.
ICSD-3では、不眠症は最初に記載があり、その中に慢性不眠障害があり、これが一般的不眠症となる.慢性不眠障害は、神経質性不眠による悪循環として説明されている.ICSD-3の問題は大きく2つあり、以下に示す.
問題点1は、ICSD-3の元となったDSMの診断基準で不眠を分類すると、うつ病や精神疾患になることにある.研究の場合には原因を考えないのは恣意的にならなくて良いが、診察の場合は原因をよく考える必要があるため、単純にICSD-3を用いると判断を誤り、将来的に睡眠障害者が著しく増えることになる.
問題点2は、ICSD-3では、不眠症群は、慢性不眠障害と短期不眠障害に分けられるが、期間が異なるだけで記載内容にほとんど差がないことにある.Table 1に慢性不眠障害、Table 2に短期不眠障害が記載され、不眠障害の期間が3か月以上なら慢性不眠障害(Table 1-E)であるのに対して、不眠障害の期間が3か月未満なら短期不眠障害(Table 2-D)となる.臨床的には、不眠障害の期間が3か月以上か以下かで症状に大きな違いはなく、短期不眠障害についてことさら言及する必要はないと考えられる.

3.2 不眠症の診断
不眠症の診断は、まず不眠症の鑑別診断を行い、糖尿病などの二次性不眠を除外する.次に、不眠の症状評価を行う.特に、不眠のタイプのうち、早朝覚醒はうつ病の患者が多いので注意が必要となる.うつ病の患者は、朝早く起きてしまうが、体が朝動かないし、目が覚めて眠れないので、死んでしまったほうが良いと思うことが起こる.臨床の場合、この時に病棟で命を絶つことがあるので、うつ病患者の場合には、特に、朝は良く見守る必要がある.早朝覚醒以外に、中途覚醒などがあるが、これらは早朝覚醒に比べると特徴的ではない.
不眠症では、患者が言っていることが本当かどうかも重要となる.不眠症は、眠れていないのではなく、眠れないと思うことが特徴となる.健常者、不眠症患者、うつ病患者に対して、睡眠の時間と質を脳波で比較すると、健常者とうつ病患者は、どちらも脳波による実睡眠時間と患者の申告による自覚的睡眠時間は比例する[9].一方で、不眠症患者は、実睡眠時間よりも自覚的睡眠時間が短くなることが報告されいてる.この事からも、不眠症患者は、眠れていないと感じていても、実際には睡眠時間が確保されている場合がある.
不眠症の診断では、慢性不眠障害の成因を3つの因子に分類しており、例えば神経質などといったその人の素質を準備因子、ストレスなどの原因を結実因子、不眠症から抜け出せなくなる永続化因子の3つとしている.また、不眠症では、眠る時間が物理的に不足しているのか、眠りたい時に眠れないのか、眠れないが日中は元気な躁病なのかを区別する必要がある.本来の不眠症は、夜に眠れなくて日中に活動障害があるというものとなるため、鑑別診断が重要となる.

3.3 不眠症のメカニズム
不眠症では、実睡眠時間が確保されていても、眠れないと思うことで神経質性不眠となり、悪循環してしまう.具体的には、ストレスがあって、床について目を閉じると、不安や心配事が浮かんでくる.このようにストレスで緊張すると、器質的には身体の筋肉が緊張したり歯を食いしばったりする.これらの筋肉などの緊張によって、覚醒して眠れなくなる.次に、その結果として、朝まで眠れないという不安が強くなる.この不安がストレスとなり、眠れないかもしれないと考えただけで、条件反射のように身体的緊張が起こる.これが、条件反射となり床に就いたとたんストレスを感じ、筋肉が緊張して眠れなくなる.
不眠症のメカニズムをまとめると、不眠には、次の2つの特徴がある.
1. 体全体のこわばりである身体化された緊張
2. 眠れないかもしれないと思うことで学習化された睡眠妨害的連想
なお、不眠により引き起こされる肥満や糖尿病のメカニズムもわかってきている.睡眠時間が短いとレプチンが減少し、グレリンが上昇して肥満となる.また、睡眠時間が短いとインスリン感受性が低下して、糖尿病になる.高血圧や、成長ホルモンの分泌減少、脂質の分解低下も起こる.

3.4 高齢者の不眠
高齢者には様々な疾患があり、整形外科疾患、泌尿器科疾患、皮膚科疾患、慢性肺疾患、心疾患、糖尿病などがある.その結果、疼痛、頻尿、かゆみ、呼吸困難などといった症状が現れて、不眠となる.うつ病や認知症でも、初期症状として不眠を訴える.また、高齢者特有の症状として、むずむず脚症候群もある.薬理学的要因もあり、アルコール、カフェイン、ニコチンだけでなく、降圧剤、自律神経作用薬、甲状腺製剤、ステロイド薬、抗がん剤も不眠の原因となる.
高齢者の睡眠障害の特徴は、入眠潜時が延長する入眠障害、入眠後の覚醒が多くなり睡眠効率が低下する中途覚醒、浅い睡眠の割合が増加して深い睡眠が減少する熟睡感不足だけでなく、睡眠層が前進する早寝早起き、睡眠が多層性になる昼寝増加と昼夜逆転などがある.高齢者が早寝早起きになるというのはよいが、中途覚醒は様々な問題を生じる[10].高齢者に睡眠障害が生ずると、日中の過度の眠気、認知機能障害、身体疾患や精神疾患の罹患および増悪、夜間の転倒、生活の質(Quality of Life)の低下、睡眠改善薬の過剰使用などが発生する.
鍼灸師が実施する高齢者特有の睡眠衛生指導には次のようなことがある.寝床上で多くの時間を過ごさない、土曜日曜も同じ時間に起床する、就床と起床時刻を一定に保つ、寝付けなければ一度離床する、昼寝は午後の早い時間帯に30分までに制限する、定期的に運動する、日中特に午後の遅い時間帯はなるべく戸外で過ごす、一日の日光暴露量を増やす、午後以降はカフェイン、タバコ、アルコールの摂取を控える、夕方以降は水分摂取を制限する.

3.5 現代医学による不眠症の治療
不眠症の治療では、臨床的には、夜に7時間眠らないとだめかもしれないという考え方自体が原因となることを患者に理解させることが重要となる.そこで、生活指導において、7時間眠らなければならないという心の制約を排除するように指導する.また、患者が睡眠と脳の仕組みをよく知ることで、良い眠りが得られる.脳の仕組みは、以下の4つが知られている.
1. 眠くなるには、起きていることが重要となるため、恒常性維持機構や睡眠圧を制御する.
2. 概日周期や恒常性維持機構の眠気の波を利用して、就寝時に眠気の波が来るようにする.
3. 脳の温度が下がると眠くなるため、後頭部を冷やして深部体温や代謝を下げる.
4. 就寝前のお風呂など、体を温める.
不眠症の治療には、認知行動療法の活用も有効である.不眠症に対する認知行動療法CBT-I(Cognitive Behavior Therapy for Insomnia)では、認知行動療法により不眠症の5割の方の症状が改善している.認知行動療法により、身体化された緊張と学習化された睡眠妨害的連想から解放することで効果を上げている.
認知行動療法では、以下の4つが重要となる.
1. 睡眠と寝床を結びつける刺激コントロール法では、眠くなってから寝床へ行く.時間を決めて寝床に行くのではない.睡眠関連以外に寝床を使用しないことも重要となる.夜中に目が覚めたら他の部屋に行くことで、起きた状態で寝床に寝ていないようにする.
2. 老人の場合は、寝床に長くいないという睡眠制限法が効果的となる.老人は早寝早起きと考えるため、早く寝床に行く傾向にある.例えば19時ころから寝床に行くケースがあるが、これは良くないので、寝床に行くのを遅くする様に指導する.具体的には、遅寝早起きを指導する.その結果、寝床にいる時間が短くなり、寝付くまでの時間である入眠潜時がなくなり、途中覚醒や早朝覚醒もなくなる.
3. 夜間の睡眠に支障をきたす飲料や薬剤を使用しない.カフェイン、にんにく、カレーなどの刺激物、アルコール、たばこをやめる.
4. 日常的な時差ぼけの発生をなくす.これは、社会的時差ぼけ(Social Jet Lag)と言われている[11].社会的時差ぼけは、物理環境や生物時計ではなく、社会的制約により社会的時間から逸脱するほど、生物学的時計との解離が増大するというものである.例えば、休みの日に遅く起きると時差ぼけが起き、睡眠に悪い影響を及ぼす.そこで、休日でも平日と同じ時刻に起床することが重要となる.また、北海道と沖縄を頻繁に出張すると生ずることがある.北海道と沖縄には、太陽の位置に2時間の時差があるため、日の出の時刻をベースにする生物時計は、時差ぼけを生じてしまうので注意が必要となる.

4.不眠症に対する鍼灸治療

4.1 不眠症の治療の基礎
東洋医学では、心は、神を蔵し、精神活動や意識活動の中心であり、心神の失調により不眠や多夢といった症状を引き起こす[12].また、睡眠は衛気の運行や陰陽の盛衰、肝の蔵血と関連する[13].不眠は、内熱により心神が乱れる、あるいは血虚や陰虚により心神が養われないことによって起こるものが多い.入眠困難は、内熱によるものが多く、中途覚醒は血虚によるものが多い.
現代医学の考え方に基づく鍼灸治療では、適応となるものに、機会性不眠と神経症性不眠がある[14].
機会性不眠は、外界の刺激や生活習慣の乱れ、一過性の精神的緊張などによって正常な睡眠が妨げられたり、睡眠リズムがくずれたりするもので、多くは原因がなくなれば症状は改善する.臨床的には、不眠による精神的興奮の持続、自律神経の乱れなどの悪循環により、症状が固着傾向を示す問題がある.鍼灸治療では、精神的興奮を鎮静化させ、全身調整をはかって悪循環を断ち切る.
神経症性不眠は、心理的機制により機会性不眠が完全に固着してしまう場合と、さしたる誘因が認められないにもかかわらず発症する場合がある.いずれも患者の性格傾向が大きく関与する.症状は入眠障害が多く、重症になると全く眠れないという訴えがある場合がある.鍼灸治療は、機会性不眠と同様であるが、心理的な配慮が重要になる.
治療穴は、機会性不眠と神経症性不眠のいずれも、百会、顖会、天柱、風池、完骨、肩井を用いる.
東洋医学に基づく鍼灸治療では、内経に記載のある目不瞑、不得眠、不得臥や、難経に記載のある不寝の治療に沿って実施する.一時的な精神緊張や考え事、住居環境の影響、異常な暑さや寒さなどにより起こる不眠は病態とはしない.発熱、疼痛、咳嗽、喘息などにより起こる不眠は、その原因に対処する.不眠の弁証は、4つに分類され、痰熱、肝火、心脾両虚、心腎不交となる.痰熱と肝火は実証、心脾両虚は虚証、心腎不交は虚実挟雑証となる.それぞれ、以下に個別に示す.
1. 痰熱では、飲食不節により生ずる.随伴症状は、胃脘部のつかえと胸苦しさ.舌診は、紅、黄膩苔.脈診は、滑数.治則は、化痰和胃.配穴は、中脘、豊隆、内関、厲兌、隠白.
2. 肝火では、肝鬱や激怒により情志を損傷すると肝の状態が悪くなり、気滞を生ずる.随伴症状は、怒りっぽい、目赤、脇痛、口苦.舌診は、紅、薄黄苔.脈診は、弦数.治則は、平肝降火.配穴は、肝兪、胆兪、行間.
3. 心脾両虚では、心脾を損傷しやすく、心を損傷して陰液を消耗すると神志を主れなくなる事から生ずる.随伴症状は、心悸、健忘、自汗、顔色が冴えない、精神疲労がある.舌診は、淡白、薄白苔.脈診は、細弱.治則は、補気養血.配穴は、脾兪、心兪、神門、三陰交.
4. 心腎不交では、房事過多、急病などにより腎陰を損傷し、心腎相交の関係が失調して生じる.高齢者にはこれが多い.随伴症状は、顔面四肢の熱感などの五心煩熱、盗汗、口喉の渇き、耳鳴、健忘、腰膝のだるさ.舌診は、紅、苔少.脈診は、細数.治則は、滋陰降火.配穴は、太渓、大陵、神門、太衝、三陰交.

4.2 科学的根拠に関するの報告例
不眠症に対する鍼灸治療の科学的根拠(エビデンス)に関して、海外では中国を中心に多くの報告があるが、コクランレビューでは質の高いランダム化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trial)の不足と結果のばらつきなどから効果については不明となっている.PubMedでは、Acupuncture×Insomniaは91件、Moxibustion×Insomniaは3件、RCTは78件、内中国は53件報告された[15].研究報告数が少ないだけでなく、1つの研究で取られているデータ数が少なく、質の高いRCTが少ないことが課題となっている.
治療穴は、頻度の高いものから、神門、百会、食竇、四神聡、神庭、内関の順となった[16].神門の不眠に対する効果の報告では、神門への鍼が両手の他の部位の鍼よりも優位に睡眠を改善した[17].耳鍼の不眠に対する効果の報告では、耳の神門穴、心穴、安眠穴の組み合わせが多く、週3回3週間実施した結果、効果が認められた[18].
国内では、不眠×(鍼+灸) の検索結果は91件、RCTは下記の3件あった[15].
1. 太衝、三陰交、内関、百会、肝兪などを用いた報告では、睡眠改善薬を飲んでいる患者に鍼治療を実施すると、投薬日の間隔を開けることができた.客観的評価指標を用いた一例では、21歳の女性に、失眠穴にカマヤミニを施灸し、安眠穴にパイオネックスを刺鍼して、タニタ製スリープスキャンを行うと、入眠時間の減少と睡眠得点の上昇が得られた.ここで、スリープスキャンは、マット状で、胸の下のあたりにマットをひいておくと、呼吸、体動、心拍を記録するものである.睡眠時間と睡眠量や睡眠の深さを画像に示すとともに、睡眠得点を算出した.
2. 左手の少沢を用いた報告では、不眠を訴える男性10名、年齢54±10歳に対してマグレンを3日間貼付し、アクティスリープを用いて評価した.アクティスリープは、腕に時計状のリングをはめて体動をチェックする機器である.
3. 黒野式全身調整基本穴である中脘、期門、天枢、気海、天柱、風池、大杼、肩井、肺兪、厥陰兪、脾兪、腎兪、大腸兪を用いた報告では、ランダム化クロスオーバー試験を実施して、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA: Obstructive Sleep Apnoea)質問紙を用いて評価した[19].対象は、健康男性12名、年齢40±9.4歳であった.入眠と睡眠維持、夢み、疲労回復で点数の増加がみられ、鍼治療の効果が認められた.

4.3 一般的鍼灸治療による不眠の改善
睡眠障害および睡眠障害に伴う不定愁訴に関する報告では、鍼治療の有効性が示された[20].治療は、睡眠障害を訴えて来院した患者6名に対して、黒野式全身調整基本穴13穴と、症状に対する局所療法として膻中と足三里を選穴し、30mm 18号ステンレス鍼を用いて、単刺術にて、14回~21回の鍼治療を行った.評価は不定愁訴カルテを使用した.不定愁訴指数の推移は有意に減少し、不定愁訴指数カルテによる効果判定は、著効1例、有効5例であった.睡眠障害も全症例において改善された.
症例数を増やすために、臨床時の鍼灸治療効果について検討した報告では、治療の翌日は症状が良くなるが、1週間以上後には、症状が元に戻った[21].臨床時には、シャム鍼と実際の鍼を比較する治療は行いにくいため、主訴の治療に加えて不眠治療を行って、不眠改善度を示した.不眠を主訴としていない森ノ宮医療大学付属施術所来院患者にピッツバーグ睡眠質問表(PSQI: Pittsburgh Sleep Quality Index)を用いて調査した.6点以上を睡眠障害として、睡眠障害があるのは患者全体の63%となり、潜在的な不眠有訴者が多く、11点以上の患者の割合は20%となった.
鍼灸治療の結果、夜間覚醒は2日後に減少したが、3日以降に元に戻った.熟眠感と夜間覚醒回数も改善したが、治療後2日目をピークに元に戻り、効果を示す期間は限定的であった.
PSQIの点数が高い人は、ストレスの視覚的評価尺度(VAS: Visual Analogue Scale)が高い傾向にあった.点数が低く、睡眠効率が高い人は、ストレスVASが低い傾向にあり、睡眠の質とストレスの関係が示唆された.
なお、百会への刺鍼では、1か月間ほどで咬筋などに筋弛緩が生じ、握力計にも力が入らないような効果が表れるとともに、表面体温が上がり熱放散が活発となって眠くなるため、不眠症対策になる[2].

4.4 円皮鍼による不眠治療
円皮鍼を用いて、治療日の間に患者自身によるセルフケアを実施した報告では、真の鍼ではPSQIが8点から5点に改善した[22].鍼灸治療の効果が長く続かなかったため、治療効果を高めることを目的とした.セルフケアを長続きさせるために、簡単に実施できることを重視してパイオネクスとした.被験者は、森ノ宮医療大学の学生4名.PSQIが6点以上で、自覚的ストレスVASが50以上の学生とした.継続期間が1か月未満の不眠は除外した.治療には、プラセボ鍼とパイオネクスの両方を用いた.経穴は神門、内関、三陰交とした.
真の鍼にはパイオネクス円皮鍼を使用し、シャム鍼はシャム円皮鍼を使用した.実施頻度は週2回で2日間とした.睡眠の時間と質は、睡眠日誌とアクティスリープで評価した.データとして有効であったのは、職業が看護師の42歳の女性1名のみであった.睡眠日誌では、入眠潜時と夜中に目が覚めている時間が短くなり、昼間の眠気が改善した.アクティスリープで測定した睡眠の質や入眠潜時でもPSQIが改善した.円皮鍼を2日間張り付けただけで、夜間覚醒回数も減少した.円皮鍼は、寝つきが良く、夜間に目が覚めにくいため、睡眠の質、入眠潜時、昼間の眠気に改善が認められた.ただし、1例であり、被験者によって不眠の要因や生活習慣が異なるため、一般化できていない.

4.5 耳鍼による不眠治療
一般の治療院の不眠有訴者を対象としたN-of-1試験の報告では、結果が非常にばらつき、効果の有る人と無い人がいた[15].効果の有る人は、昼間の眠気が改善した.疲労回復と起床時の眠気および疲労回復と夢見の関係に相関が認められた.被験者は、週1回以上開業鍼灸院に来院している人で、主訴に対する治療を行うが不眠症状も持っている女性3名にパイオネクスゼロを1週間貼付した.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)睡眠質問状を毎日記載してもらい、エプワース眠気尺度(ESS: Epworth sleepiness Scale)も用いた.週1回、通常の治療と耳鍼治療を行った場合と、通常の治療のみの場合とした.
結果は、3名の被験者ともに客観的な指標では十分な睡眠であるのに対して、自覚的には満足していなかった.疲労と不眠に相関があり、疲労回復が第一目的である治療が必要であった.結果にばらつきが大きく総合的な結論には到達できていない.パイオネクスゼロは鍼が無いため、刺激が弱すぎた可能性がある.患者の治療者に対する強い信頼感の影響により、耳鍼に対する抵抗感がある中で検討を実施したことも有効な結果が得られなかった理由と思われる.耳の神門穴、心穴、安眠穴を用いた報告では、効いた患者と効かない患者がおり、重症患者の対応をしている看護婦では効果が低かった.

4.6 台座灸による不眠治療
治療の合間に効果を持続させるために、灸による深部体温の上昇を目的に、患者自身が自宅で毎日実施できる市販の台座灸を用いた報告では、台座灸をしたほうが介入開始後2週目以降に夜間覚醒回数は優位に低下し、4週間後も効果は保持された[23].足首まで湯につけると眠りやすく、手足が冷えていると眠りにくいなど、手足を温めると良く眠れる.また、深部温度が急速に下がると眠れ、深部温度の下がり方がゆっくりだと眠りにくいため、台座灸の効果が期待された.被験者は、森ノ宮医療大学学生19名で、少数例から開始し、無治療比較RCTとした.対象は、PSQIが8点以上で、1か月以上不眠自覚症状のある場合とした.除外条件は、器質的疾患がなく睡眠改善薬不使用とした.介入は、四肢への灸刺激で、太衝、太渓、足三里、合谷、神門とし、毎日、入眠前1時間以内に台座灸を実施した.評価は、睡眠日誌とタニタ製スリープスキャンを用いた.介入開始2週間目以降に、夜間覚醒回数と夜間覚醒時間の改善、3週目に昼間の眠気の改善が得られた.
施術所来院患者に、同様の検討を実施した報告では、鍼治療の後に台座灸を実施してもらうと夜間覚醒回数と日中の眠気が2週間目に有意に減少した[24].被験者は6名.平均年齢36歳、PSQIは9点、平均的睡眠時間は6時間程度であった.介入後2週間目は、介入後1週間目より改善する傾向があった.エプワース眠気尺度も介入1週目で低下し、施術所来院患者でも同様な結果が得られた.
四肢への台座灸セルフケアと、肩こりや腰痛への台座灸セルフケアのどちらが有効かを調べた報告では、主訴の改善と睡眠因子が連動する変化が観察され、肩こりが楽になると眠りの質もよくなった.調査は、自答式解答と脳波から比較した.被験者は、40代女性で、入床前に肩こりと腰痛部位に台座灸を実施してもらった.肉体的治療を実施することで、睡眠の質が良くなり、自宅で肩こりのセルフケアを行うことも不眠治療に重要であることが分かった.
足への台座灸と肩こりへの台座灸を比較した報告では、足への介入では良くなったが、肩への介入では良くならなかった[25].全体的にも、足のほうが良い傾向があった.ランダム化事例研究法N-of-1およびRCTで評価した.くじ引きで足群と肩こり群を分けた.評価は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)睡眠調査票と脳波センサを用いた.介入は、足は、太渓、太衝、足臨泣、肩こりは、頸肩部のコリのある部分や三角筋群とした.台座灸は、無縁タイプのせんねん灸の奇跡とした.脳波は入眠潜時だけが改善傾向を示し、5分から1分に改善した.
台座灸を四肢末梢に行い入眠時の深部温度および自律神経活動への影響に関する報告では、四肢末梢への灸刺激により、健康成人における入眠時の深部温度および自律神経活動に影響を与えることはなく、入眠潜時にも影響が認められなかった[26].方法は、同一被験者に灸刺激群として台座灸による灸刺激を行い、対照群として台座灸を置くのみとした.この2群の介入順序はランダムに割付け、1週間以上空けた同一曜日の同一時間とした.灸刺激群は座位で左右の合谷と太衝に2壮行った.評価は、実験開始前日の睡眠状況を閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)睡眠調査票MA版に、当日の心理状態をPOMS2(Profile of Mood States 2nd edition)に記録した.
四肢の温度が低い患者に不眠傾向があるため、入床前の足浴が睡眠導入に有効で、入眠後の心拍減少がスムーズとなることが報告されており[27]、灸治療に比べると足浴のほうが安価で簡便である.四肢への灸治療も足浴と同様の効果が期待されるが、不眠以外の愁訴に対する効果が同時に得られなければ、価値は低いと思われるため、入眠を主とした睡眠の問題を改善する目的で、入床後にセルフケアとして灸治療を実施することについてさらなる検証が必要と思われる.足への灸治療が睡眠に及ぼすメカニズムを、皮膚温度、深部温度の変化を指標として検討したり、適切な刺激量についても検討する必要がある.被験者の背景や数、研究環境やメカニズムなど、今後さらなる検証が必要となる.
睡眠の質は、睡眠時計と疲れの2つによる影響が指摘されていが、鍼の強度という観点で、電気パルス鍼をしても、結果は変わらなかったため、体に与えた侵害刺激量の影響の検討も必要と考えられる.睡眠の質に対して、心拍や皮膚血流の影響が言われており、末梢の血流を測定することができる.
湧泉や失眠は、不眠治療穴として出てくるが、足背と手背が体の熱を放散して温度を下げるといわれているので、足底穴は用いていないが、小さな鍼がたくさん出ているソマセットなどを足の裏につけて、失眠や湧泉への刺激を行ってもよいかもしれない.

4.7 高齢者への不眠治療
特別養護老人ホームとケアハウスに入所している合計36名に鍼灸治療を実施した報告では、治療をした日には良く眠れるが65%、以前より良く眠れるようになった58%となった[28].夜間排尿回数2回以上のものは、8例のうち5例で改善し、夜間排尿回数が3.5回から2.6回に減少した.基本的治療穴は、中極、中髎、合谷、足三里、三陰交とした.個別には中医学的分類を行い、それぞれの証に基づいた治療を行った.心脾両虚は、脾兪、心兪、神門、三陰交.心腎不交では、腎兪、心兪、太渓、大陵.痰熱では、中脘、豊隆、天枢、内関.肝火では、肝兪、胆兪、行間とした.
むずむず脚症候群が認められたパーキンソン病に対する鍼灸治療の一例として、セルフケアとして、温灸療法を実施した報告では、不眠は4か月後に全く問題なくなった[10].対象は、むずむず脚症候群の61歳女性で、寝ようとすると足にジンジンする下腿部の違和感による不眠があった.8年前に歩行困難となり、7年前にパーキンソン病と診察され、4年前に受診した.鍼灸治療は140回程度実施している.入眠前になると下腿後面に、もやもやした違和感を覚える.パーキンソン病の症状は、筋強剛、ジスキネジア、歩行困難、便秘などの自律神経症状があった.不眠症状は、むずむず脚症候群により、入眠前になると下腿全体にもやもやする不快感や、足を動かしたい、両足を擦り合わせたい感覚が生じるため、中途覚醒と日中の全身倦怠感があった.不眠VASは、全く眠れないを100としたら47程度であった.
弁証論治は、肝心陰虚証とした.鍼治療は1週間に1回程度.合谷、足三里、太衝、肝兪、腎兪、大腸兪に40mm 16号鍼を用いて、響いた後に20分置鍼した.頭皮鍼療法は、百会と両側の頭維、太陽に、40/16号鍼を5㎜程度刺入後20分置鍼した.自宅では、むずむずする場所として、足三里、太白、合陽、承筋に温灸としてカマヤミニを1日1回就寝前に実施するように指導した.温灸の頻度は、最初は毎日実施させ、4か月後には1日おき、7か月後には週1回とした.温灸をすると、下腿部不快感は直ぐに改善したが、温灸をやめると悪化した.1日おきに実施すると継続的に改善した.不眠VASは46が3か月後に17、9か月後に3に減少した.

4.8 高齢者への一般的治療による不眠の改善
鍼灸院に来院する高齢者の生活習慣の調査、睡眠障害への鍼灸治療の効果を検討した報告では、鍼灸治療開始後に42%で睡眠が改善した[29].調査は、2016年に明治国際医療大学付属鍼灸センターと京都駅前鍼灸院で実施した.専門調査票を用いて患者が記入し、自己記入が難しい場合には鍼灸治療担当者が記入した.調査項目は、睡眠障害の有無と種類、睡眠障害に関連した生活習慣の有無と種類、鍼灸治療の期間と治療効果、睡眠状態にどのような影響を与えたか、とした.調査票は、久留米大学医学部神経精神医学講座 内村直尚教授監修の武田薬品工業の睡眠に関する相談シートを用いた.チェックは、1か月以上継続して当てはまる場合とした.
調査項目は、疲れているのに寝付けない、夜間何度も目が覚めてしまう、朝早く目が覚めてしまいその後眠れない、ぐっすり眠った気がしない、朝すっきり起きられない、寝起きの体が重い、日中に我慢できない眠気を感じることがあるとした.平均の睡眠時間も記載した.体内時計の乱れにつながる可能性がある項目に当てはまる場合にチェックさせた.項目は、朝の日光をほとんど浴びない、平日と休日では起床時間が2時間以上差がある、朝食をほとんど食べない、30分以上の長い昼寝をすることが多い、運動習慣がない、寝酒をする、寝る前にテレビ鑑賞やパソコンの利用が多い、とした.鍼灸治療の効果について、選択肢を用いて質問した.受けている鍼灸治療が効いているか、著効、有効、やや有効、無効、悪化、の中から選択させた.鍼灸治療を初めて、睡眠状態に変化があったか、睡眠状態に変化がない、寝つきが良くなった、長く眠れるようになった、深く眠れるようになった、ぐっすり眠れるようになった、夜間の目覚めがなくなった、早朝の目覚めがなくなった、目覚めが気持ちよい、の中から選択させた.
患者数は、男性30名、女性30名の合計60名で、平均年齢は男性76歳、女性77歳.治療期間は、半月から25年間と開きはあるが、平均すると72カ月であった.主訴は、腰痛65%、膝痛37%、肩こり30%、下肢痛28%、痺れ23%、歩行障害22%などで、不眠を主訴としたのは1例もなかったが、睡眠障害がある者は80%となった.過去の報告では睡眠障害がある比率は30%といわれているが、睡眠障害がありながら他に愁訴を持っているために、主訴が睡眠障害とならない潜在的な睡眠障害患者は実際はより多くなっている.
睡眠状況は、回答結果の多いものから、夜中に何度も目が覚める48%、日中に我慢できない眠気を感じる38%、朝早く目が覚めるとそのあと眠れない32%、ぐっすり眠った気がしない30%となった.高齢者では、中途覚醒が最も多く36%であった.
睡眠障害に関連する生活習慣が有る者の割合は83%となった.多い順に、寝る前にテレビ鑑賞やパソコンの利用が多い63%、運動習慣がない45%、30分以上の昼寝をする33%、朝に日光をほとんど浴びない17%、寝酒をする習慣がある8%、平日と休日で起床時刻が2時間以上異なる5%、朝食をほとんど食べない2%であった.高齢者では、パソコンや携帯電話の使用例は少ないと考えられるため、生活習慣の改善のための指導としては、寝る前にテレビを見ないように指導することが重要と考えられる.一方で、今後は、パソコンや携帯電話を使用する高齢者が増加するため、情報機器の使用を控える指導も重要となる.
睡眠障害がある者80%と、睡眠障害がない者20%を比べると、睡眠障害がある者には女性が多い傾向がある.睡眠時間は、睡眠障害がある者と睡眠障害がない者には差はなく、いずれも6時間となった.睡眠障害のある者で、不眠の生活習慣が2項目以上ある者は87%となった.一方、睡眠障害のない者でも66%に不眠の生活習慣があった.
鍼灸治療開始後の改善項目は、多い順に、ぐっすり眠れるようになった18%、寝つきが良くなった17%、深く眠れるようになった12%、寝覚めが良くなった10%となった.睡眠障害がある者のうち、何らかの改善があったのは38%で、睡眠障害のない者でも睡眠状況に改善があったのは58%であった.
どのような主訴が改善したときに睡眠状態が効果的に改善するかを調べるために、主訴の治療効果と睡眠状態の改善の関係を調べた.鍼灸治療で95%が改善しており、改善の程度は、著効18%、有効50%、やや有効27%、記載なし3%、無効2%であった.鍼灸治療効果のそれぞれのカテゴリーにおいて、睡眠状態が改善した割合は、著効55%、有効40%、やや有効31%であった.治療効果が著効となった患者に高い睡眠状態改善効果があり、主訴の治療効果が上がると睡眠状態もよくなった.過去の治療期間の長さと治療効果の関係や睡眠との関係は認められなかった.

5.考察

睡眠不足により睡眠時間1時間の借金をすると、返済するのに4日間の正常な睡眠時間が必要となるため、睡眠不足に陥らないように、十分な啓蒙が必要となる.
不眠の要因にはストレスがあり、床に着くと不安や心配事が浮かんで来て精神的に緊張すると、器質的にも身体の筋肉が緊張したり、歯を食いしばったりする.この筋肉などの緊張によって、覚醒してしまって眠れなくなり、朝まで眠れないという不安が強くなる事がさらなるストレスとなる.つまり、眠れないかもしれないと考えただけで、身体的緊張が起こり、これが条件反射となって床に就いたとたんにストレスを感じて、筋肉が緊張して眠れなくなる.筋肉の緊張を抑制することで不眠症が緩解されるため、鍼灸で筋肉の緊張を取れば、鍼灸による不眠治療が可能となる.鍼灸治療による安眠穴へのアプローチなど、副交感神経優位とすることで、不眠が緩和されると考えられるが、それだけでなくストレスで緊張した筋肉を鍼灸治療で緩和すれば良いことになる.この筋肉の緊張と眠りの関係から、例えば、肩こりや背中の張りを緩和すると不眠も抑制することが可能となる.鍼灸治療の最中に眠くなるのも、鍼による筋弛緩作用が一つの要素になる.治療中だけでなく、筋弛緩を治療後数日間維持するだけで効果が期待できる.効果を長続きさせるには鍼灸治療と台座灸や耳鍼などのセルフケアの組み合わせが重要となる.
不眠により緊張する筋肉がどのような部位に存在するかを調べるために、中途覚醒した際に緊張する筋肉を触診により明らかにし、緊張した筋肉に対して筋緊張を緩和するセルフケアを導入することで、短時間に睡眠に誘導する事が、長期間にわたって自宅で可能となる.
また、筋緊張をいつ鍼で取るかも重要となる.就寝前に鍼で筋緊張を取ることが効果的と考えられるため、ストレスを感じたときは、夕食後しばらくして、近くの鍼灸院で治療を受けて、深く眠ることを習慣化することも効果的と考えられる.一般の方に不眠に対して就寝前の鍼灸治療が効果があることを浸透することが重要となる.
睡眠障害以外の主訴を訴えた高齢者の80%に睡眠障害があり、83%に睡眠障害に関連した不眠の生活習慣があり非常に高い比率となっていることから、高齢者への不眠治療は必須と思われる.高齢の患者には、治療時に睡眠衛生指導を徹底する必要があると思われる.鍼灸治療の効果がより高い群において、睡眠状態が改善した割合が高かったことから、徹底した主訴の改善も望まれる.
鍼灸治療の効果の報告では、評価指標として使用されているのが、体動から睡眠状態を推定するスリープスキャンやアクティスリープ、閉塞性睡眠時無呼吸症候群用のOSA質問紙やピッツバーグ睡眠質問表、エプワース眠気尺度、不眠VAS、睡眠に関する相談シートなどとなっており、睡眠日誌は少数であり、分析も十分ではなかった.医師による睡眠障害の診断では、睡眠日誌が重要となるため、より広く睡眠日誌が活用されるとともに、鍼灸師が睡眠日誌の内容を十分に分析することが望まれる.
症状が短期で問診の段階で容易に原因が推測できる場合や、傾眠の原因が明確で発症時期がわかる場合には、初診時から睡眠衛生指導をすることから治療を開始するが、症状が長期にわたる場合には数週間の睡眠記録が必要となるため、患者は睡眠日誌を記載する必要がある.睡眠日誌では、眠った時間を黒く塗りつぶし、眠っているようで眠れていない自覚がある時間を斜線などで毎日時間のマスを埋める.睡眠日誌は、慢性化した不眠症、過眠症、概日リズム睡眠障害などの診療に有効となるため、鍼灸治療効果の評価には睡眠日誌の記載と分析の結果を含む必要があると思われる.
いくつかの報告で体動から睡眠状態を推定する機器が用いられているが、脳波のデータが無いと正しく睡眠状態を理解できない.睡眠障害の治療の現場では、睡眠ポリグラフ(PSG: Polysomnography)が用いられており、体動だけでなく、脳波、心電図、いびき音、酸素飽和度や眼球運動などを同時に測定している.良い睡眠は、脳が良質な休息をするとともに、身体も穏やかに休む必要があるため脳の状態と体の状態を同時に評価する必要がある.睡眠ポリグラフは入院して測定する必要があるが、脳波を計測しないアプノモニターなどの携帯型睡眠検査機も存在しており、自宅で測定が可能となっている.不眠症患者の中には、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連呼吸障害群が含まれており、その場合は、早期に専門医の診断を受けさせるようにする必要があるため、不眠症を訴える患者には、治療前に専用の検査機を用いて不眠状態を解析する必要があると考えられる.
不眠を訴えて内科などを受診した場合には、すぐに睡眠改善薬を処方されることがあるが、投薬の前に睡眠衛生指導を行うというのが、不眠治療の第一歩となっている.これは、鍼灸治療時でも同様で、眠れないという患者には、治療と同時に睡眠衛生指導を行う必要がある.睡眠衛生指導の指針は厚生労働省健康局と日本睡眠学会から出されているので、これらを参考に実施する.睡眠衛生指導を行う際には、若年層、中高年層、高齢層の3つの年齢層に分けて、それぞれの生活を聴取したうえで適切な指導をする必要がある.その中で、あまにも当たり前だが、毎日となると実施しにくいのが、適度な運動である.忙しくても、例えば一日一万歩などときめて、毎日1時間程度は歩行する時間を確保するようにさせる必要がある.
不眠症に関連して昼間に極端に眠くなる過眠症があり、なかでも体から力が抜けていく居眠り病は、中枢性過眠症群に属する.単に眠くなるだけでなく、オレキシンが不足していると感情に変動があった場合に、レム睡眠で起こるような脱力発作が起こることからも鑑別できるので、鍼灸治療時の問診が重要となる.
小児鍼をしていると、夜泣きなどで、夜中に起きて泣くという症状の訴えがある.その際に、睡眠時遊行症や睡眠時驚愕症などのノンレム睡眠時随伴症の可能性があるので注意して問診する必要がある.この場合は、加齢に伴って自然治癒することがあるので、安心させてもよい.一方で、寝ぼけて異常行動をとる中高年は放置しないほうが良く、レム睡眠行動障害として専門医を受診した方が良い.レム睡眠行動障害は、パーキンソン病やレビー小体型認知症のような脳神経の変性や、神経伝達以上疾患などにみられるため、脳の黒体変性について検査すれば原因疾患を特定することが可能となる.不眠症を訴える患者に対しては、単に睡眠の不足というだけでなく、様々な疾患が隠れていることを前提に問診する必要がある.

6.むすび

不眠症は、一般成人の21%が罹患しており、60歳以上の高齢者層では30%以上となると報告されている.睡眠不足は内科疾患を助長したり、注意力の低下による事故を誘発するため、睡眠状態の改善が重要となっている.そこで、睡眠について、睡眠の法則、睡眠改善薬の変遷、睡眠衛生、不眠症の分類、診断、メカニズム、高齢者の不眠、鍼灸治療による不眠症の改善について説明した.
不眠症に対する鍼灸治療は、コクランレビューでは効果は不明となっているが、個別の検討では入眠までの時間や夜間覚醒の改善による睡眠の質の向上が報告されている.効果を長続きさせるには鍼灸治療と台座灸や耳鍼などのセルフケアの組み合わせが重要となる.
筋肉の緊張を抑制することで不眠症が緩解されるため、鍼灸治療でストレスで緊張した筋肉の緊張を低減すれば、鍼灸による不眠治療が可能となる.鍼灸治療の最中に眠くなるのも鍼による筋弛緩作用が要因となっており、肩こりや背中の張りなどの筋緊張を緩和すると不眠も抑制できる.治療中だけでなく、筋弛緩を治療後数日間維持するだけで睡眠状態の改善効果が期待できる.緊張した筋肉に対して筋緊張を緩和するセルフケアを導入することで、長期間にわたって自宅で睡眠状態の改善が可能となる.また就寝前に鍼灸治療で筋緊張を取ることが効果的であるため、不眠に対しても就寝前の一般鍼灸院での鍼灸治療が効果があることを一般の方に浸透することが重要となる.
睡眠障害以外の主訴を訴えた高齢者の80%に睡眠障害があり、83%に睡眠障害に関連した不眠の生活習慣があり非常に高い比率となっていることから、高齢者への不眠治療は必須と思われる.高齢の患者には、治療時に睡眠衛生指導を徹底するとともに、鍼灸治療の効果がより高い場合に睡眠状態が改善したことから、鍼灸治療による徹底した主訴の改善も望まれる.

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(令和4年8月2日受付)


photo 大塚 信之
1985年 東北大学卒業
1987年 東北大学院博士前期課程終了
1997年 博士(東北大学)
1999年 蛍東洋医学研究所設立
2017年 明治東洋医学院専門学校卒業
漢方、鍼灸、気功など、東洋医学に関する研究に従事


所属 Affiliation
 蛍東洋医学研究所, 大塚鍼灸院
 Hotal Ancient Medicine Research Institute (HARI), Otsuka Clinic

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 〒560-0033 大阪府豊中市螢池中町3丁目8-14
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