鍼道秘訣集

本書は、大塚鍼灸院門下が鍼道秘訣集を学ぶために、蛍東洋医学研究所にて作成しました。
鍼道秘訣集には、夢分流の考え方、秘伝、掟などが書き記されていますが、現代の鍼灸師に必要となる考え方も豊富に記載されています。
伝えたい真に大切なことは言語化しにくいので、上手な針医になるために必要な考え方を、物語や短歌などを用いて解りやすく伝えたいという著者の強い思いが本書から感じられます。 針医の心の持ち様 や 三つの清浄 は、日々の臨床において身につまされる内容となっており、心を正して現代文に訳しました。
書き下し文だけでも十分に内容を把握できますが、文語体のため慣れない方には難しいかもしれません。 日ごろから使っている言葉の方が伝わると思い、HPでは大塚鍼灸院の日常用語で記載した現代文のみを記載しています。 原文や原文の読み方が必要は方は、 Pdf版 でご確認ください。
本書に記載の病証は、抗生物質等により克服された 感染症 や迷信から脱した 神経症 なども多く記載されています。 このような病症に対して、当時は何故このように診断し、治療したのでしょうか。 現代教育では、正解のない問いは出題されない傾向にありますが、正解はなくとも自らが信じる答えは持つことができます。 本書に記載されている病証の中には、現代では鍼灸治療を実施しない病証や、治療法に正解が無い病証が含まれますが、何故このように治療したのかという問いに対して、正解はなくても信ずるに値する自らの答えを持つことは、上手な針医であればできると思うのです。
御薗夢分翁が辿ったように、まずはしっかり学んで基本を身に着け、さまざまな流派に学び、最後には自らが最も得意とする型を工夫により進化させる守破離の精神が、針医として大成するには必要であることを、本書から学びたいと思います。
令和三年十二月一日